seraphyの日記

日記というよりは過去を振り返るときのための単なる備忘録

最近買った本。

今日はとくに目新しいイベントはなし。かわりに、今日買ったというわけではないが、ここ2週間ぐらいに仕入れた本について記録を残す。
デバッグルール
デバッグルール
もちろんプログラマ向けの本ではあるが、内容は一瞬「トランジスタ技術」を読んでいるような錯覚に陥る。しかも、15年ぐらい前の内容で、ラジオ系(電波系にあらず)少年だった高校時代を思い出しちまったよ。要するに、バグの事例としてあがっているのが、かなり古いうえにファームウェア、ハードウェア系の話なんだね。バグつぶし、品質管理、品質検査は日頃重要に思っているところであるが、たしかに実習程度のハードウェアの経験さえないプログラマは、デバックという行為を主観的推測やトライアンドエラーという闇鉄砲なパニック行動だと思ってるフシがあるような気もしてきた。バグつぶしの根本は推測ではなく事実の確認からはじめなければならない、という当たり前のことをバカ丁寧に説明している本です。「うごけばいい」というやっつけ仕事をしてる方々は、こんな本は関心ないだろうし、読んだところでピンとくるものもないだろう。また、確たる根拠に基づいた堅牢で信頼性のある品質の高いシステムを構築しようと心がけている人には目新しい示唆はなく、さしあたり、ちょっとレトロな気分を味わえる通読本だといえるかな。

使いやすさのためのデザイン―ユーザーセンタード・デザイン
使いやすさのためのデザイン―ユーザーセンタード・デザイン
IBMThinkpadを例にプロトタイピングからユーザーのニーズをつかんでゆこうとする事例が載っているなど、ユーザーをメインに置いたデザインについての考察が書かれている本。題材はThinkpadの1例だけで、これを250ページ弱にわたりつづけている。掘り下げて解説しているともいえるが、一般論を論じているわけではない。これはタイトルどおり、IBMのUCD(ユーザーセンタード・デザイン)という特定の1つの方法論を解説した本である。一般論を期待する方には、あまり向いてはいないかもしれないが、ここから自分たちに合った方法論を見つけてゆく足がかりにはなるかもしれない。個人的には、ウェブページからユーザーのフィードバックを取得し、そこから客の動向を検証するというのは、サンプルとしてはじめから特定嗜好ユーザを狙っているとしか思えない偏ったデータソースのように思えるし(実際、データもそうだったようだし)、ユーザーに画面上で質感等々のイメージを「感じてもらう」ために工夫を凝らしたページをみせて、その評価を分析しているが、それは面白い研究ではあるが、結局、おあそび以上の意味があるのだろうか?とか疑問に思ったり、この事例はUCDの実例ではあるが、かならずしも成功事例だとはいえないのではないか?などとは感じた。

うーむ。これを書いていて、ふと思った。物言わぬウェブ閲覧ユーザーの動向から真のニーズを分析し改善に役立てる、というのは一般的な小売業も同じ。大半の顧客は店員に声をかけることもなく黙々とレジに並ぶだけだし、逆にモノを言うクレーマーや非難がましい、あるいは遊び本位のガキやイカれた客は、むしろ、たいていの場合は真の客を代表した声ではなく、プラスマイナスどちらの方向としても突飛なサンプルとしては除外すべきようなノイズであるのが大半だと思う。

「サムライ」、米国大企業を立て直す!!―倒産寸前の会社を、「エアライン・オブ・ザ・イヤー(2004 OAG Airline of the Year Awards)」に変えた秘密
「サムライ」、米国大企業を立て直す!!―倒産寸前の会社を、「エアライン・オブ・ザ・イヤー(2004 OAG Airline of the Year Awards)」に変えた秘密
これまた、かなり派手な人だ。おもしろくて夢中で読んでしまう、引き込まれるような話題が豊富である。コンチネンタル航空の建て直しに貢献したと自負される鶴田氏の自伝であるが、ともかく、この人の反骨精神と役人嫌い、権力嫌いは痛快だ。(それにタフで行動力があり努力家だ。)航空機を知らない経理畑の人間に航空会社が運営できるわけでない、という正論。もちは餅屋、という正論。この人は本当に妥協なく正論で生きているようだ。こうゆう人を、ふつうは不器用な人、世渡りが下手な人というのだろうけれど、この人は、それを最大の武器にした。だから、この本のタイトルに「サムライ」の文字があっても、決して誇張ではなく、むしろ相応しいのだと納得した。コンチネンタル航空911事件以降に優勢に立てたのは、偶然なのか必然なのか私には判断つかないが、しかし、本書は、いわゆるビジネス成功体験本として読むものではなく、むしろ、鶴田氏の愚直にも真実にまっすぐ生きる姿勢を語った、人生教唆に富む本なのではないかと思う。