seraphyの日記

日記というよりは過去を振り返るときのための単なる備忘録

「日経コンピュータ 2006/1/9号」

スパコンに本腰を入れる米MS

マイクロソフトがスーパーコンピュータのOS開発の研究を進めている、とのこと。現在は100〜200台程度のクラスター接続ぐらいで、この手のものとしては、ごくごく小規模スタート。

とはいえ、このニュース、間違いなく重要なことだと思う。

たしかに、一昨年はグリッドコンピューティングという言葉が流行った時代で、しかし、昨年後半からは潜伏期に入ったような印象を受ける。大抵、潜伏期間がすぎて、つぎに姿を現したときには、アーリーアダプタと、そうでない人との間に、歴然とした埋めがたい格差が生じているので、そうゆう潜伏中の重要テクノロジがあるのならば、そのリスクは押えておかなければいけないとも感じた。

現在、Oracle9iのRAC(リアル・アプリケーション・クラスタ)を使っているが、あれは二次記憶の絡む、データベースのような分散化するのが難しい技術における、汎用的な一般解として、かなりうまくいっているように感じている。

しかし、龍馬さんの日記によると、mixiMySQLを使っていて、150台のクラスタ構成、また画像の扱いも、日記のような件数は多いが、それぞれの読み書き数は少ないもの、あるいはプロフィール画像のような読み込み件数が多いものとを分けてシステムを構成しているという。
このあたり、適切なアーキテクチャで適切に構成すれば「汎用解」などという力技に頼らずとも、スマートで敏捷なシステムが作れるということだろう。

いずれにしても、クラスタリングとグリッドは今後常識となることは確実で、複数のマシン間の分散処理についての基礎知識を高める必要があるだろう。
あまり活用されなかったCORBAなどの分散オブジェクト技術が、形を変えて再び花開くかもしれない。
また、クライアントマシンでさえも、現在はデュアルコアは一般的になりつつあり、いい加減なマルチスレッドの知識では、CPUキャッシュが複数個あるようなケースでの適切な同期処理ができなかったりする問題が、すでに出てきた。
(JAVA仮想マシンでは、その問題は2000年ぐらいに、かなり話題になったようだ。この頃から、JAVAではダブルチェッキングロックによる同期は無駄だということが常識になっていたが、一昨年の段階ではcppllに参加するC/C++プログラマの中には、まだ、この手法が使えると信じていた者がいたようだ。)

IT立国日本の実情/ここがおかしい日本のIT

日/欧米のソフトウェア業界の違いは、欧米ではソフトウェア業界が発展してきた時期とは、自国の経済が低迷しており業務の改善化が求められていた時期であり、逆に、日本のソフトウェア業界が発達したのはバブル期であり、その結果、ソフトウェア業界に対する考え方が、業界人も業界以外の人も、正しく、あるべき姿を見ていないし、あるへき姿になろうともしていない、というような指摘あり。

まあ、それはしかもしれないが、それよりも気になったのは、国内のコンピュータ産業は、国外にマーケットを持っていない、という問題。そして、それが今後、グローバル化によって変更を余儀なくされるときがくるであろう、という予感。
たしかに、このことは日経バイトの記事などでも、たびたび触れられていて、「日本のコンピュータ産業は『日本語』によって守られている」という側面があるのは確かだと思う。
ところが、最近、OS-tanのような日本発の萌え文化を紹介している海外サイトを覗くと、日本語を知ってる外国人の数はわりといるようなのだよね。もしかすれば日本のオタク文化の輸出と同時に日本語の障壁レベルも低下しつつあるのかもしれない。そうすると日本語は非関税障壁にならなくなる可能性はあるよなァ。
しかし、皮肉なことではあるな。
同じ秋葉系でも、アニメは輸出できて、ソフトウェアは輸出できていないなんてね。しかも、この2つの業界のコンシューマ・プロデューサともに、かなりの率がかぶってるところがあると思うのだけど。
その上、もしかすれば、そのアニメ系の輸出によって、逆に、ソフトウェア業界に嵐がもたらされる可能性もある、と。
とりあえず、外の動向は注意しておかねばならないな。

通信事業者の課金制度

どこかでレンタルサイトを借りようとすると、大抵は1ヶ月間のトラフィック量で値段が決まったりするのが普通らしいが、まあ、むりもなく、転送量が多いほどハードウェア資源を使うわけだから、従量課金は妥当ともいえよう。

それと同じことを通信事業者がやろう、という。こうなると、amazongoogleのようなアクセス数が多いサイトは困るでしょう。というか、mixiも困るでしょうな。

そんな記事あり。

ただ、リソースというものが枯渇しはじめないかぎり、ものの値段は決して上がらないのよね。どこかの事業者が、その戦略を打ち出したところで、そうなれば安い場所に流れるだけだから、結局、低い場所にしかゆかないわけで。
まあ、全事業者が有料化に動くというのは談合か法律でもできないかぎり無理でしょう。
しばらくは「インターネットはタダ」という常識はかわらないと思う。(実際には、一般コンシューマは回線利用料をプロバイダに払っているわけですが。)